初めて西表島へ行ったのは2005年7月。その時シュノーケルを体験して、いままで休んでいた感性の扉が再び開いた気がしました。衝撃の体験。外からみえる海と、覗いてみた海は全然違いました。異次元の感覚。色にあふれ、躍動する波。手をのばせばすぐ近くにいるのに捕らえることができない魚たち。それらは日々出会う人達や、身辺に起きる事象とも似ています。私にとって全てが愛おしい光と陰の世界です。そんなこんなを書いてみたいと思うようになりました。少しずつ少しずつ・・・。 えりさのプロフィール

14歳の夏の午後、雲を見ていて詩が浮かぶ。この時から詩や童話を書き始める。たくさんの寄り道をして現在に至る。染織・パン作り・パーカッションなど興味の範囲が広く趣味とよべるものがない。よく変人扱いされるが実は極めて常識的でやることはかなり古風。えりさの名の由来はアンデルセンの「白鳥の王子」より。

Vol.10 原宿平均律のこと・4 カップとスプーン
 今でこそ、欧米の高価な磁器のティーカップやコーヒーカップは、日本の一般家庭でも使われてますが、30年位前、それらは贅沢品でした。
 原宿平均律開店当時、店には200客ちかいカップがありました。お客様が好きなカップを選び、マスターがそれに合うスプーンを添えてだすのが、 平均律の一つの儀式のようでした。自分の選んだカップが運ばれてくるのを、嬉しそうに待っている人が沢山いました。
 カップは洋物がほとんど。1〜2割を占める日本のカップは、マスターが喫茶専門学校で講師をしていた頃、地方で買い求めたりしたものでした。  故濱田庄司氏(陶芸家)が益子で作陶をされていた頃、現地で買ってきたものもありました。洋食器は、主にデパートなどで買ったものでした。  いつか喫茶店をやる日の為に、一客ずつカップを集め、写真帖を作っていたマスター・・・一番楽しかった頃だったようです。
 ロイヤルコペンハーゲン、ビングオー・グレンダール(デンマーク)、リチャード・ジノリ(イタリア)、ビレロイ・ボッホ(ドイツ)、ウエッジウッド(イギリス) ローゼンタール(ドイツ)、ヘレンド(ハンガリー)、フッチェンロイター(ドイツ)、ミントン(イギリス)、大倉陶園、有田焼、清水焼(日本)の他、作家物も ありました。カップにはそれぞれ名前がついていて、制作秘話などもあります。
 カップ選びはなかなかむずかしく、意外に渋いのを選ぶ人、意外に派手なのを選ぶ人、たまに「お任せで」と言われると結構考えてしまいます。だしたカップをみて 「私のイメージですね」などと反応されると、実はそれほど考えてもいなかったりして、それがおかしかったです。
 ある時、「カップをお選びください」と言ったものの、いつまでも決まらないようなので、マスターもえりさも他の仕事をしていたら、「これで」と言われて振り向くと、 カウンター内に入ってカップを選んでいた人がいて、びっくりしました。あとで二人で大笑いしました。
 ちょっと知ったかぶりの男性が、デートなのか、女性とみえて、カップのことなど説明しているのですが、間違ったことを言ったあげく、女性が選んだカップを「趣味がよくない」 と言って、「うちは趣味の悪いものは置いてません」とマスターに怒られていたことがありました。これもおかしい話の一つです。
 スプーンはお客様からのプレゼントが多く、特に海外旅行の土産として、ふえて、結構面白いものもあります。よく、「砂糖もミルクも入れないのでスプーンは結構です」 という方がいますが、マスターの中では、スプーンを添えて完成形なので、楽しんでいただけたらと思います。
 自分の家でもお茶を飲む時は、省略形でなく、きちんとした形でいいものを使うと、贅沢な気分になります。たった一杯のお茶でも、豊かな時を過ごすことができるので、 ぜひお気に入りの、少し値段がはっても、よいものを使うことをお薦めします。

 綺麗なカップをご覧ください。言ってくだされば、お好みのをだしますよ。「どれでもいい」なんて、無関心はカップたちが悲しみます。それぞれ物語を持っているカップたちです。この中に 私がもっとも好きなカップの一つがあります。


ice rose WEDGEWOOD

Potter's Gallery MIKASA

basket VILLEROY&BOCH

The Royal Coach ROYAL COPENHAGEN

mokuren 日本

orchard gold AYNSLEY